私がやっているテープ起こしの業務は、毎年3月末から4月上旬にかけて閑散期になる。収入が減ってしまうので、何か仕事をしようかなと思い、まずは単発でできるようなスキマバイトの仕事を探すことにしたのだが、思うように条件に合った仕事を見つけることができずにいた。そんな時、自宅でできるAIの仕事の求人を見つけた。完全在宅の業務委託だから、勤務時間は自由だし時給は1500円からとかなりの好条件。飛びつくようにその求人に応募し、説明会に参加して契約書を締結して、いざ業務を始めたのだけれども、そうそううまい話は転がっていなかった。
その求人の業務の内容は、音声のデータがあって、まず自動的に文字起こしされたものが音声どおりに起こされているかをチェックし、出来ていない場合は修正をするというもの。参加した説明会の話だと、1日に数百件はやってくださいっていうことだったから、そのつもりで作業をしてみると、どうがんばっても1時間に30件がいいところ。どうやったら数百件もこなせるのだろうかと、自分なりに試行錯誤しつつと二日間はがんばってみたのだが、時給換算すると400円ぐらいにしかならない。時給1500円のはずだったよね?しかも、どんなに頑張っても1日に数百件をこなすなんて不可能だし、二日間やっても1万円にも満たない給料。
おいしい話はそうそうないんですね。はー、ガッカリなんて落ち込んでみる。何か他にいい仕事がないかをインターネットで検索してみると、「今やるべき副業〇選」みたいなネットの記事や、YouTubeの動画がいくついくつもヒットする。その中の一つの動画を視聴してみると、一番のおすすめはnoteっていうメディアプラットフォームを使用して、アフィリエイトの記事を書くというもの。アフィリエイトというのは、ブログ上である企業の商品やサービスに関する記事を書いて、それを読んだ読者がその商品やサービスをブログを通して購入することで、そのブログの持ち主が報酬を得ることができる。そして、その動画の中で説明していたのは、ブログに載せる記事はAIに書いてもらうというものだった。「なるほど、世は本当にAIの時代なんだ」って感心はしたけど、これが本当に私のやりたいこととかって言われると、何だか違う気がした。
なんて言いつつも、そもそも私がこのホームページを作成したのも、会社員を辞めた後どうにかして収入を得たいと思い、いろいろ探している中でブログを作成して収益を上げるという本を読んだのがきっかけなんだけれども、結局のところ収益化なんていうのは夢のまた夢で、サーバー料金の支払でむしろマイナスになっているのが現実だった。AIさんが記事を書いてくださるなら、もしかしたらほんのわずかでも収益を上げるっていう目的は達成できるのかもしれない。でも、私が以前にブログに失敗したのは、多分だけど、商業的な記事を書いて世間の耳目を集めるという行為が、自分の心の中にある考えを文章にしたいという、本来自分がやりかったことと目的を異にしていたからじゃないかと思う。だから、ユーチューバーさんがおすすめされていたAIにアフィリエイト記事を書いてもらうというおすすめの副業とは、とりあえず私は違う道を進むことにした。
じゃあ、どうやって収入を得るのかと言われるかもしれないけど、他にもいろいろと探してはみた。それで、「自由に働いて月100万円稼ぎました!」みたいな本があって、アマゾンキンドルで無料で読めるから読んだんだけれども、セールスと言いながらも具体的に何をセールスするのかは全く書いてなくて、ちゃんと調べてみると、まずは自分がお金を払わされるっていうなんとも怪しい仕事だったりして、とりあえず今のところは、テープ起こしの仕事を地道にやっていこうって、そういう結論に至ったのだった。
ネット上にはいろんな情報がわんさか存在し、どれが嘘でどれが本当か見きわめるのも大変だ。まして、「おすすめの副業」ですすめられていたように、これからはAIが書いた記事があふれてくるのだろう。インターネットの記事を読むうえで、絶対に頭の中に入れておいてほしいことが二つある。一つは、インターネット上の記事っていうのは、多くが商業目的で書かれているということだ。おすすめの化粧品、おすすめのサプリ、おすすめの塾、おすすめの本。インターネットで何かをおすすめしている文章は、ほとんどがその商品を売るために書かれたもので、その文章を書いているライターは、その商品を全く使ったことがない場合だってあるのだ。これは私の実体験だけれども、会社員時代にウェブライターの副業をしたことがあって、自分は全くその商品やサービスを利用することもなく、依頼どおりにその商品をすすめる文章を書いていた。健康食品とかリフォーム会社、カツラに関する記事も書いたっけ。
そしてもう一つ。インターネット上の記事というのは、たとえば書籍だったら通常ある校閲というものを受けていない。校閲というのは、出版される文章の内容が間違っていないかチェックすることなのだけれども、インターネットは誰もが好き勝手に言いたいことを表現できるぶん、たとえその内容が間違っていたとしても、それを指摘したり修正させたりする機能がない。医薬品や化粧品ならば薬機法という法律に則って罰則が決められているが、ネットやSNSにはあからさまな誇大広告が横行している。だから、おいしい話に飛びつく前に冷静になって考えてほしい。簡単に顔のしわやシミを消せるクリームや飲むだけでやせる魔法のサプリなんてないし、簡単に稼げるおいしい仕事なんて存在しない。世の中には、あなたのお金を狙っている悪質な業者がたくさんいるんだよ。
それで今日は何を言いたかったかというと、よくよく考えてみると、今の私のテープ起こしの仕事は、頭が爆発しそうになるぐらいに大変な時もあるけど、毎月わりと安定したお金を稼ぐことができるし、作業時間も完全に自由だし、フリーランス初心者の私には結構いい仕事だったんだなということに気づかされた。途中で何度かやめようかなってくじけそうになったこともあったけど、やめずに続けてよかったよかった。こんな大切なことに気づくことができたなんて、時給400円の仕事も無駄じゃなかったんだな。まあ、テープ起こしの仕事をやめなかった最大の理由は、借りているノートパソコンの充電ケーブルをくーちゃん(黒ウサギ)が噛んじゃったせいで、やめたいなんてとてもじゃないけど言い出せなかったからなんだけど、そう思えばくーちゃんのいたずらも無駄じゃなかったということになる。そう思えば、甥っ子たち二人と会えない悲しい時間も、いずれプラスになる時が必ずやってくるのだろう。


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