私は毎朝、起きてすぐに家の中を掃除することを日課にしているのだが、今朝も掃除していたら、テレビのニュースから痛ましい事件が聞こえてきた。障害者施設に通っていた5歳の女のことが、当時その施設で働いていた男から性的暴行を受けたという事件。誰が聞いても腹立たしい事件だと思うのだけれども、私にはどうしても他人事はいられないことがあって、朝から感情的になってしまった。
上の甥っ子には軽度知的障害があり、小さい頃から療育のために施設に通っている。好きなことと苦手なことがはっきりとしていて、たとえば字を読むことは得意で本を読むのが好きなのだが、算数となるとからっきし不得意で、簡単な足し算をやることすら拒絶をする。コミュニケーションも一応話すことはできるけれども、自分の考えを表現したり、相手の話を聞いて対話するといったことは苦手だ。
そんな上の甥っ子は、私のことが世界で一番好きなんだそうだ。いや、最近はスマホに一番の座を取られてしまったのだけれども、人間の中では一番で、小さい頃からパパやママよりもまさちゃんを好きでいてくれている。だからなのか、私の前ではいろいろとしゃべってくれても、他の人の前では口を閉ざしてしまう、そんなことがよくあった。例えば彼は英語が得意で、というのも私が教えたからなんだけど、1歳の頃からアルファベットを覚えて読んでいた。お散歩中にお花の色を英語で言うとすぐに覚えて、What is that?と聞くと、RedとかWhiteとか楽しそうに答えてくれるんだけど、パパやおばあちゃんの前でWhat is that?と聞いても、知らんぷり。私への愛情は今になっても変わらなくて、そういえばこんなこともあった。
去年の夏休み明けに我が家に来た時、夏休みの宿題を全くやっていなかったことが2学期の初登校日に判明して、学校の先生に元兄嫁が注意を受けたらしく、あわてて我が家で宿題を仕上げることになった。そもそも、小学生の子供の宿題を把握してなかった元兄嫁に責任があるのだが、それを子供のせいにするなんて、その場で文句を言いたい気持ちを抑えて、数日間で二人とも宿題を終わらせることができたのだが、上の子においては鉛筆を握らそうとするだけでキレてしまい、まず机の前に座らせるのに苦労した。その時点で小学校3年生。それなのに自分の名前を書くことすら半泣き状態でキレて、今まで元兄嫁一家はこの子に何をしてきたのかと呆然とした。しかも、もう一つ腹立たしいことがあって、宿題を終わらせてくれと元兄嫁が頼んできた時に、上の子の方はいいんですけどと言ってきたのだ。きっと、それは彼が障害者だからいいっていうことなんだろうけど、たとえ障害者であろうとなかろうと、学校から出された宿題を精いっぱいやるのは当然のこと。頑張ったうえで全部できなかったのなら仕方ないけど、最初っからやらさなくていいなんていう道理があるはずがない。
私たち家族がこのことに腹が立って仕方ないのには理由がある。それは、たとえ障害があっても上の子にも将来はきちんと就職してお金を稼ぎ、できる限り自立をしていってほしいからであって、それは上の子のためでもあり、また下の子に負担をあまりかけさせたくないからという思いがある。それなのに鉛筆を持たせるだけで半泣きでキレるなんて、小学校に上がってから今まで何をしてたんだってショックを受けたのだが、キレたからって「じゃあやらなくていいよ」なんて諦める甘いおばちゃんじゃないの、私は。いろいろと試行錯誤しながら、時には二人で一緒に鉛筆を持って書いたりしながら、どうにかして宿題を終わらせることができた。こんな時、パパやおじいちゃん、おばあちゃんでは駄目で、私でないと彼は鉛筆を握ることすら受け入れないのだ。こっちだって、目に入れても痛くないほど可愛くなるよね。
それで、言いたかったことはこのことじゃなくて、泊まりに来た日、上の子が突然に大泣きし始めて、気になったことがあったので尋ねてみると、「うん」と答えた。それは親だったら普通じゃいられないようなことだったので、すぐさま警察に通報すべきか兄と悩んだのだけれども、まずは母親に話してからにしようということになり、兄が元兄嫁にLINEでメッセージを送った。すると、すぐに元兄嫁から電話があった。正直、こんなに早くリアクションあると思っていなかった。だって、子供たちが高熱を出していると連絡をしても、すぐに返信があったためしがなく、病院にあわてて来ることも、子供たちを迎えに来ることもなかったから。そして、電話を取った兄が彼女と口論をしているのが聞こえてきて、私も兄のところに駆け寄ったのだが、電話をかけてきた彼女から出てきた言葉を、私は一生許すことができない。
「障害者だから信用できない。警察でもなんでも行けばいい。」
あまりに腹が立ち、兄からスマホを奪って私も彼女に怒りの言葉をぶつけてしまった。自分の子供に向かって言う言葉かと。そして、すぐに警察に相談したところ、子供たちの住まいの管轄の警察署に行くことになり、警察官にいろいろと事情を説明したのだが、警察官いわく、自分がされたことを警察官や検察官の前で上の子が説明できないと、事件化することは難しいとのことだった。それでも、ひとまず子供たちは児童相談所で保護されることになり、警察官の方には親権者の変更を考えているなら、すぐに手続きをした方がいいとアドバイスを受け、それで親権者変更の申し立てをすることになったという経緯があった。
しかしながら、上の子の訴えはやはり事件化できないということで終結してしまい、児童相談所から元兄嫁の家に戻されてしまった子供たち。それ以来、私や両親は子供たちに会うことができていない。時が経つにつれ、あの時の判断は本当に正しかったのかと悩んだこともあった。でも、今朝、5歳の女の子が被害者になったニュースを聞いて、あの時の判断は間違っていなかったんだと確信したのだが、それにはまたほかの理由がある。



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